サックス 演奏

アンブシャの行き着く先:その2

*アンブシャは、ジャズサックスのジャンルではリードを締め付けない「ルーズリップ」が善しとされていますが、クラッシック系ではタイトリップ、またはシンリップと呼ばれる、下唇を巻き、それをクッションにして下の歯をリードに押し付けるタイプのアンブシャが一般的です。さあて、何が正しいのでしょうか?前回に引き続き考えてみましょう。
 「アンブシャは良い音への手段」です。結果としての「サックスから出る音」が良ければ、手段はどんなものでも良いでしょう。前回の「音の安定」の次に考える結果・目標が、「息の効率」です。息を音にする際に出る無駄とは、音にならない息です。唇の隙間から洩れる息はもちろん、リードの振動に関与しない息も無駄の仲間です。そんなことは有り得ないと思うかもしれませんが、サックスのリードは基本的に前からの空気の流れで振動し、音を出します。口腔内の外側を流れ、両端からマウスピースの横側に流れる空気は音の生成に参加しません。息の流れを真っ直ぐマウスピースの先端に導けるのが、息の効率の良いアンブシャです。アンブシャと言えば唇の形のみに頓着しがちですが、舌の形・位置、頬の内側の形もアンブシャの重要な要素です。

 前回、アンブシャの目的に「音質」もあげました。アンブシャで音質は確実に変わります。簡単な例ではマウスピースと口(もしくは顎)の角度です。マウスピースの先端に対して、どんな角度で空気の流れが与えられるかで、マウスピースが作り出す音の質が変わります。簡単にできる実験ですのでやってみてください。またアンブシャとは少し離れるかもしれませんが、息を出す筋肉の使い方や喉の開け方、舌の形、口腔内の形もサウンドに影響します。これらも広い意味でのアンブシャの要素です。
 まわりくどい説明だったかもしれませんが、ご理解いただきたかったことは、「アンブシャは形でなく、それが作り出す音が大事」という、至極簡単な理屈です。シンリップ、ファットリップ、ダブルリップ、口輪筋鍛錬等、巷で語られる「形」に囚われず、「それが導く結果」に注目してアンブシャを考え、自分なりのアンブシャを作って欲しいということです。逆にアンブシャに頓着していなかった方々は、これを機に考え直していただければと思います。アンブシャをちょっと変えただけで、出なかったフラジオ音域が出るようになります。また、ある音域で上ずっていた音程が上ずらなくなります。音が太くなります。サウンドの輪郭が出てきます。ステージの最初から最後まで、疲れないで吹けるようになります。楽器の全音域の音程が改善されます。など等。これらはすべて、「自分にとって正しいアンブシャ」を会得することで実現できる成果です。
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