サックス奏者にとって、マウスピースを咥え、音を出すための原型の動作になる口の形、「アンブシャ」はサックス演奏の基本中の基本なのですが、色々なタイプもあり、また奏者によって微妙な違いがあります。奏者によっては、「アンブシャをどうして良いか分からない。」、という人もいれば、「なんとなくこの形。音が出易きゃ良いんでしょ?」、的な無頓着派もいるようです。ジャズサックスのジャンルではリードを締め付けない「ルーズリップ」が善しとされていますが、クラッシック系ではタイトリップ、またはシンリップと呼ばれる、下唇を巻き、それをクッションにして下の歯をリードに押し付けるタイプのアンブシャが一般的です。さあて、何が正しいのでしょうか?
結論から言ってしまえば、「アンブシャは良い音への手段」です。結果としての「サックスから出る音」が良ければ、もしくは奏者に不満が無ければ、手段はどんなものでも良いでしょう。しかし結果に対して近道の「手段」は存在します。アンブシャの目的を細かく分解して考えてみましょう。実はダメなアンブシャの結果を考えればこれらは簡単に導けます。まずは「音の安定」。不安定なアンブシャは音のピッチや音量、音質を不安定にし、音楽を汚くする原因となります。次は「息の効率」です。奏者にとって息は限られた量しか体から出てきません。その大事な「息」を効率良く音にするのがアンブシャです。悪いアンブシャは息が無駄に使われます。「音質」もアンブシャの目的です。喉から出た息は、口の中で様々な流れを作り、その流れがリードを振るわせてサックスの音となります。サウンドの源泉は楽器そのものや奏者の体系にも左右されますが、音の源泉の「空気の流れ」と「リードの振動」をコントロールするアンブシャはサンドの質に大きく関与します。他にもいくつかのアンブシャの「目的」は存在しますが、まずはこの三つに焦点を当てましょう。
「音の安定」は安定したサウンドを作り出し、奏でる音楽を質の高いものに維持します。逆に不安定なアンブシャでは、音が震え、ピッチがぶれ、音質が不必要に変化します。音を安定させるアンブシャは、曲の最初から最後まで形が変わらない、またフレーズを吹いているときにも音を「適切にコントロールすることのできる」アンブシャです。言い換えれば、「変化しないコントロール力」と言えます。安定した音を出すためには、マウスピースと口の関係が変化しない必要がありますが、マウスピースに立てる前歯はその安定を作り出します。そしてある程度鍛えられた口輪筋(唇の周りの筋肉)による安定した締め付け力も必要です。しかし「口の責任」だけでアンブシャを安定させるのは至難の業です。楽器の持ち方、バランスのとり方、演奏姿勢も音の安定に影響を与えます。(次回へ続く)
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狭い開きもあるので、Jazzだけでなく、クラシックの方にもオススメのマウスピースです。
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