首に掛けて、サックスをぶら下げる「ストラップ」はサックス吹きにとって必須のアイテムです。その種類、方式等、様々な工夫がストラップに対して昔しみなく注がれています。そして、サックス奏者は皆それぞれの「好み」で、お気に入りのストラップを選んで使用しています。そんなストラップに対する「こだわり」がお題です。
サックスを吊り下げる事が出来れば、ストラップの役目としてはOKです。では、そんな「ぶら下げるためのヒモ」、にどんなこだわりが存在しているのでしょうか。いちばん簡単なのは「見栄え」です。そのデザインによって、ファッションに合う・合わない、演奏するジャンルの音楽に合う・合わない等があると思います。かつては地味で目立たない存在だったストラップのデザインは、年々派手さと自己主張を強めているようです。また機能面では「硬い」か「柔らかい」かもあります。楽器に装着し、奏者に触れる物なので、「楽器を傷つけるのが怖い」派はソフトな素材を使ったストラップを選びます。フックはもちろんプラスチック。サックス側のストラップリングが擦れて削れることがありません。スリング(ヒモ部)は丈夫なひもやナイロンベルト。長さ調整用のアジャスターも金属性は避けます。こだわる方は、首あてとスリングをつなぐ部分の「ハトメ」も嫌がるようです。この逆は、「金属フックに金属チェーン、アジャスターも金属のプレート」という、古き良き時代のジャズマンが好んだストラップですね。
首あての素材、また形状にもストラップの特徴が出て来ます。首に当たる部分を特に工夫していない、スリング一体型の首あては、首から下げているのを忘れるくらい装着の「さっぱり感」は卓越しています。逆に、幅広で首筋に沿うように特殊なカーブを持った厚手の首あては、首へのサックスの重さの影響を軽減してくれる、今流行りの方式です。タスキのようにハーネスになったストラップなど、様々な工夫で首への負担を軽減させたストラップが、近年数多く開発されています。テナーサックスやバリトンサックスでは、かなりの重量をストラップで支えますので、首への負担は軽視出来ません。ストラップと演奏姿勢の組み合わせで、頚椎の障害を発生させてしまうことも稀ではありません。ストラップの首への負担は、サックス奏者の「注目ポイント」です。
「安全性」もストラップの重要な要素です。ストラップフックがリングから外れて、サックスを床に落とす、なんてことは有り得ない事ではありません。しかし近年のストラップでは、ロック機構の付いていないフックはほとんど見なくなりました。ただし、サックスへの装着のスピードとロック機構の堅牢さは相反するものなので、楽器の持ち替えが多く、素早いサックスの着脱を優先するサックス奏者は、「ロック無し」フックを好んで使う傾向もあるようです。
最後に挙げたいこだわりは、「サウンド」です。ストラップの材質、構造、デザインによって、サックスのサウンドは変わります。…多分変わります。…変わる気がします(汗)。自分のフィーリングにぴったりフィットするストラップを探してください。
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