皆さんのなかに、サックスを始めた理由が、「ピカピカしてて、メカメカしてて、格好良いから!」、という方はいらっしゃいませんか?サックスという楽器の金属素材の輝きと、シャフトとパッドが複雑にからんだメカニズムの構造、管体の優雅なカーブの美しさは、非常に魅力的であり、サックスの「見栄えの美しさ」の基本だと思います。私がサックスを始めた理由の数十パーセントは実はここにあります。今日はサックスの輝き、光沢についてお話しましよう。
サックスの輝きの原点は、素材と表面仕上げの組み合わせです。金属材料の種類、またその上にラッカーをかけるかメッキをするか…。ラッカーやメッキの素材も輝きを作り出す要素です。輝きを考える際にまず理解しておいていただきたいのは、「光沢は色では無い」ということです。厳密な意味で、「金」や「銀」は色ではなく、「光沢のある黄色系」であり、「光沢のあるグレー」が正しい認識です。もうひとつの留意点は、「艶消し」、「マット仕上げ」は光沢が無いということではなく、「乱反射の多い光沢」であることを理解してください。
さて本題のサックスの輝きと光沢です。一般的なサックスは銅合金素材、真楡で出来ています。真楡でも銅の比率によって淡い黄色からオレンジ系、茶系と、多くのバリエーションが有ります。これを「バフ掛け」と呼ばれる、回転する布で磨きあげることでサックスの表面はピカピカになります。そして、その上から表面保護の為、透明のラッカーを吹きつけます。これをしないのが「アンラッカー」です。ラッカーも無色のクリアラッカーもあれば、黄色味が入ったイエローラッカー等も有ります。金や銀のメッキで表面仕上げをする場合は、メッキの厚さ、メッキ金属の純度等で色味が変化します。また、その後にラッカーをかけるかかけないかでも、サックスの輝きと光沢は変わります。
最近、多くのメーカーのサックスが、マット仕上げをバリエーションとして持つようになっていますが、この艶消し加工には、細かい砂のようなものを高速で吹きつけて、表面に細かい傷を作る「サンドブラスト」という手法を使う場合と、表面処理の塗装を艶消しパウダーの混ざったラッカーを使う場合があります。後者はコーティング素材で艶を無くしているので、永年使い込んでサックス表面の塗装が剥がれてくると、光沢が出て来ます。前者は金属表面そのものがマット(細かいデコボコがある)状態なので、長さに渡って磨き上げない限り光沢が出てくる事はありません。テナーサックスの右足モモに擦れる部分などは、最初に表面処理がすり減り、表面が磨かれた状態になる部分です。
サックスの輝きや光沢の「理由」力で分かれば、ご自分のサックスのお手入れのポイントも分かって来ますよね。そう、「磨き過ぎは禁物」です。
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