サックスの日常のお手入れにはスワブを使った、「水分除去」が不可欠です。これをさぼっていると、サックスの内部が錆びてきたり、パッドの劣化が早まったり、ひどいケースではサックスの管体の中から異臭を発する原因となります。とにかくサックスの中はなるべく乾いてきれいな状態にしておくことが重要です。その「スワブ」についてお話ししましょう。
スワブは英語の「Swab」(モップ、モップで拭き取る)の意味です。コットンスワブは綿棒のことです。そうですね、サックスの中身を「雑巾がけ」するものです。雑巾がけと言っても濡らした布ではなく、乾いた布で拭き取るのがちょっと特殊です。でも、サックス管体に溜まった水分とともに、汚れも拭き取るのですから、まさに「スワブ」って感じですよね。市販のスワブの中には、大きく分けると二種類あります。丸型と布型です。丸型は、拭き取り布の下地に丸いスポンジやナイロン糸の「サックス内部をまんべんなく擦るための型」を入れることで、スワブを通したときに管体の内側全体を効率良く吹き掃除するように出来ています。布型は布の特性を利用して、スワブ全体の布を「てるてる坊主の下半身」もしくは「フレアスカート」の様に束ねて、管体の内側を布の弾力で掃除しようというものです。丸型は使っているうちに型の丸みが失われてきたり、たたみ難い等の難点、また布型は、しっかり水分を取るために何回も通す必要が有ったり、布がほつれて管体内部に残ったり、等の難点がありますが、ま、みんなそれなりの仕事をしてくれます。
サックスにはスワブ通しの「難所」があります。ネック側からサックスの管体を覗きこむと、長さ数ミリの「棒状の突起物」が見えます。これは第一オクターブホールのパイプです。「スワブ詰まり」のほとんどは、この出っ張りにスワブが引っかかってしまうケースです。ネック側の第二オクターブホールにも突起はありますが、第一のものより小さく、スワブの詰まりになることはほとんどありません。
スワブが詰まったら、無理に引っ張るのは厳禁です。基本的に状況を「より悪いモノ」にします。最近のスワブは「逆引きヒモ」が付いたものが多いので、それを引いて逆に引き抜きましょう。それもダメな場合に備えて、第一オクターブホールの位置を思えておきましょう。ここに引っかかっていることを前提に考えたら、棒などでどこを押すべきか、どこを引いてはいけないかが分かります。無理をしない範囲での挑戦は悪い事ではないと思います。しかし、諦めは早くに決断しましょう。余計なことをやっているうちにサックスにダメージを与えてしまったら大変です。とっととリペアマンの助けを求めるのが得策です。
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