以前、バンドの音楽を率いる「コンサートマスター」や「リーダー」のお話をしたことがあります。今回はブラスバンドやビッグバンド、音楽のジャンルを超えて存在する、アンサンブルには不可欠な「パートリーダー」についてお話ししたいと思います。パートリーダーの役悪は、精神的な支えはもちろんですが、かなりテクニカルな業務が多くなります。というより、演奏法をまとめ、そのパートの音楽を作る技術監督がパートリーダーだと思います。さてどんなテクニカルな指導をするのでしょうか?
まずは音質の確認です。そのパートの全員の音色を完全に一致させることは不可能ですし、必要もないとは思いますが、メンバーの全員が、自分の音がどのようにそのパートで鳴っているかを知っておく必要があります。ちょっとした工夫で混じり合えないサウンドも、優雅なハーモニーを奏でることが出来ます。それにはまず「音を知る」ことが重要です。パートメンバーで車座になって全員で順番に音を出しましょう。ピアニッシモ、フォルテの各自の音、またパートのハーモニーの音を確認し、パートメンバーでどこを改良、強調すべきかを相談し決定します。それを進行するのがパートリーダーです。そう、パートリーダーはパート練習の進行役であり、まとめ役です。「楽器が一番上手く、後輩に吹き方を教えられる人」をパートリーダーと考えるのはちょっと違うと思います。あくまで、パートのサウンドを作り上げる道筋を作るのがパートリーダーです。
もうひとつのパートリーダーの重要な役目はハーモニーの確認です。各人がコードのどの音を吹いているかを自覚させ、そのピッチ調整の有無を確認します。速いパッセージはともかく、2拍や4拍の延ばしの音はパートでしっかりと和音を作っておくべきでしょう。バンド全体を見るコンサートマスターの負荷がとても軽くなるはずです。それにより、バンド全体の音楽作りに専念出来る訳です。パートでのハーモニー作りには、音程はもちろん、音の止め方、出だしのダイナミックス、息継ぎの場所、細かいニュアンスの決め等も重要です。そして何より重要なのは、メンバーがそれを理解し、「自分の考えとして演奏できる」ことです。「言われて出す音」は持続しませんし、何よりメンバーは楽しいでしょうか?そう、パートリーダーはパートメンバーの演奏への自覚とアンサンブルのメンバーとしての役割を考えてもらうのが大事な仕事のひとつです。そのためには、自分の考えをしっかりと持ち、曲の解釈もぶれないものを待つ必要があります。え、そんなスーパーマンは稀ですか?ですよね、だから皆で話し合うのです。パートリーダーは「パートメンバーで話しあう雰囲気」が作れれば、まずは素質ありだと思います。違いますかね?
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