サックス奏者である皆さんは気が付いたことがあるでしょうか?サックスを吹いていると、なんと「目安」の多い事か。「リードはマウスピース先端から、髪の毛一本分下げるのを目安として…。」、「前歯はマウスピースを強くは咬まず、軽く当てるのを目安として…。」、「サックス初心者はまずリードの番手は2-1/2、マウスピースは5番(メイヤー)か7番(オットーリンク)を目安として…。」など等。サックスを吹いていて、先輩や先生、指導者の方々の言うことには、なんとも「目安」が盛りだくさんです。「はっきりしてくれ!」、と大声を出したくなることも無い訳ではない、この「目安」について、今日は真面目に考えてみましょう。
「何故、目安なのか?」。答えは簡単です。「はっきりと決まっていない、もしくは決めつけられない」からです。例の「マウスピースの先端とリードの先端の髪の毛一本の差」と言う「目安の代表」については色々なことを言う方がいます。「リードを押して、マウスピースの先端にぴったり合うのが適正」と言う方や、「揃える」と言う方もいます。特殊な奏法では、かなりリードを下げる場合も無い訳ではありません。目安は目安であり、決して正解ではないのです。目安を超えることもあれば、目安を下回る場合もあります。力加減で言えば目安より強い・弱い。位置なら上下・左右。間隔であれば広い・狭い。あ、段々分かってきましたね。そうです、目安とはあくまで「平均的中心点」なのです。目安の指示を起点とし、自分に合った「良い塩梅」を探すのが、「経験上の近道」という訳です。
「目安は目安」。こんな当たり前のことを回りくどく説明したのは他でもありません。最近、目安を「正道」と信じて疑わない方が多すぎる気がするからです。そもそも、「楽器の演奏」なんてものは、人それぞれに方法論も癖も、求めるものも違うので、正しいも間違えも、その人によって千差万別です。そのことを念頭に置いて、上手に「目安」を使って速くサックスを上達する「近道」を選んでほしいと思います。決して目安に振り回されないでください。しかしむやみに目安を無視して個性を求めるのも考え物です。過去の先人たちが経験から積み上げた「目安」には、それなりの意味と重さが有ります。演奏の姿勢やマウスピースの開き、リードの番手やアンブシャの息の角度、など等、色々な「目安」を自分なりに有効利用し、目安と上手く付き合ってください。
——————————————————————————————–
——————————————————————————————–