管楽器が呼吸器に悪いと言われたのは大昔。今ではそんな迷信を信じる人はほぼ皆無です。
しかし悲しいかな、サックスを吹いている事が原因となっている「体調不良」もしくは「体への悪影響」は、決して「皆無」とは言えません。今回はサックス演奏に起因する体調への影響について考えてみましょう。
「サックスが原因の体調不良」で一番多のが「クビのこり」でしょう。ストラップを介して首に伝わるサックスの重みが首を圧迫し、首や肩の「こり」に発展します。ひどい場合は「頚椎ヘルニア」等のお医者さんのお世話にならなくてはならなくなる場合もあります。
もちろん、サックスだけが原因ではない場合もありますが、サックスの重みは思いの外、首に負荷をかけていることは事実です。
この「首への荷重」を避ける方法は簡単です。吹奏姿勢とストラップを工夫することです。多くのアマチュアサックス奏者は、自分の吹奏姿勢について無頓着な場合が多いようです。
「そんなに負担になっていない」、「このくらい大丈夫」と対策を怠っていると、小さくても長い負担の蓄積で、突然の重大な不調に遭遇することも少なくありません。練習や演奏の時々には実感しないような微々たる負担でも、実は胸の開き具合や呼吸に影響があり、「体に無理を強いている」場合が少なくないのです。
しかし、サックス奏者は医者でもないのに、どうやったら「目に見えない不調」を発見出来るのでしょう。
実は楽器の演奏者にとってとても重要で、かつ簡単で単純な方法が有るのです。
それは、「楽器と体と会話をする」ことです。いつもの演奏姿勢を取り、そこでサックスを吹かずに、力を抜いて目をつぶり、自分の体に「どう?」と問いかけてください。小さな「負担」にも気づくように、体中の全部分に神経を集中して、体からの声を聞いてください。
首への負担ばかりでなく、腰への無理な力を発見できるかもしれません、ひじの無駄なねじれに気づくこともあるでしょう。指の位置が不自然だったりするかもしれません。
そうやって、自分の演奏姿勢での体の状態をしっかりと把握し、より自然に、より負担の無い姿勢を探し求めることが、実は「楽器演奏者の最も重要な課題のひとつ」でもあるのです。
無理の無い姿勢は、良い音や、高い演奏力の源です。早期に「最適な演奏姿勢」を会得すると、楽器上達のスピードも著しく向上します。
ほんの少し演奏姿勢を変えただけで、サウンドが飛躍的に向上する場合も少なくありません。体長不良回避の前に、より良い演奏を実現するためにも、体と常に対話し、姿勢や道具に気を使うことは重要です。首だけではなく、指の先まで、色んな体の部位に神経を配ってください。
ざくっとポイントを並べるとしたら、首、肩、腰、膝、ひじ、手首、右手親指、左手小指、なんてあたりが、「要注意ポイント」と言えるかもしれません。
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