巷の方々は、何かと「都市伝説」なる真偽のほどの不明な、かつ変な話題がお好きのようです。どんな業界やジャンルにも、都市伝説や真偽不明の言い伝えがあるようです。サックス吹きを長く続けていると、そんな「都市伝説」を聞くことも少なくありません。そんなネタちょっと、紹介しますので、ま、ご愛嬌で聞いてください。
昔から、多分、百人くらいには言われているだろうという質問があります。「サックス吹くと呼吸器の病気になる?」、です。
この質問は、管楽器全般の奏者に投げかけられる、一般的な質問です。きっと苦しそうに演奏する姿を見て、「肺は大丈夫?」、「気管は大丈夫?」、果ては、「脳の血管は大丈夫?」、というとこまで来てしまいます。
私は医者ではないので、正直言ってその真偽は分かりません。確かに風邪をひいているときなどは、サックスを吹くのが辛い時があります。一般の生活の状態とは違う方法で息を吸ったり、吐いたりしていますので、何らかの体への負担はあるかもしれません。
しかし呼吸器の不具合でサックスを引退した方は、私の友人には見当たりません。「頸椎のヘルニアでサックスが首から掛けられなくなった」、とか、「交通事故の後遺症で指が思うように動かなくなった」、とかの、むしろ神経系のトラブルによって楽器演奏を断念する場合の方が多いような気がします。
「古いサビだらけのサックスを吹いていると緑青(ろくしょう)の毒で病気になる」、という別の病気ネタもあります。管の内部のサビが粉になって、体の中に吸い込まれる。そしてその成分は銅が錆びた有毒な緑青なので、体に害をなす…らしいです。しかし現代の科学では、銅の酸化物「緑青」は、ほかの金属を上回る毒性は無いことが証明されています。サックスをストローの様にして、ずっと空気を吸い続ければ、何か気持ち悪くはなりそうですが、サックス奏者の「吸気」は基本的にマウスピースの周りから吸いますので、新鮮な空気を吸っているはずです。
あ、そうだ。「サックス吹きには金持ちが多い!」、という噂も聞いたことがあります。少なくとも自分のことを考えれば、この噂はウソです。しかし噂の原因は何となく想像がつきます。だって、多分、恐らく、十中八九、サックスは維持にお金のかかる楽器ナンバーワンです。
リードが恐ろしく高価なオーボエやファゴットは別格かも知れませんが、サックス奏者のリード費用、調整費用、等、サックスという楽器の維持にかかる費用は、トランペット等の金管楽器と較べたら、とてつもなく高額です。
サックスを所有する事には費用が掛かる、イコール、サックス吹きは金持ちだ。ま、言い過ぎだとは思いますが、維持費用の確保は比較的大変な楽器でしょう。
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