あなたの趣味はと聞かれたら、みなさんは「サックス」と答えるのでしょうか?いや、これは普通ですよね。音楽の趣味を表すとき、演奏する楽器の名前をあげることは至極普通だと思います。
しかしこの答えを意地悪く考えると、楽器を演奏することではなく、サックスという楽器が好きだ、と聞こえてしまう事もあるかもしれません。良く考えてみてください。あなたは自分のサックスで何をしたいのでしょうか?
サックスを始める理由はひとそれぞれです。「なんか楽器の形がカッコよいから」、「演奏の姿にしびれた」、「サックスの音色に惚れ込んだ」、「ジャズのむせび泣くテナーの音に感動した」等々、サックス奏者の数だけ理由はあるのでしょう。私もカッコ良さに惹かれてサックスを始めたくちです。最初はこの楽器の名前は「トランペット」だと思っていたくらい、楽器の見た目だけに興味が有りました。
しかしいざ楽器、サックスを始めると、その面白さとともに、上達の大変さや、音楽表現の難しさなど、沢山の課題も目の前に現れて来ました。しかしその課題の多さゆえに、よりサックスという楽器にのめり込んでいきました。逆にサックスの上達の難しさを理由に、せっかく買ったサックスを押し入れに仕舞い込んでしまった友人もいます。多くの管楽器購入者がこのようなごく初期の段階で、「続ける」か「止める」かの岐路に立ちます。楽器を続けることは、楽しさと同じくらいの困難や努力を要しますから、実は「続ける」の道を選ぶことは、そんなに多くない比率なのかもしれません。
目の前の、買ったばかりの自分のサックスを眺めながら、ほとんどの方が夢見るのは、ステージでカッコ良く、自分の好きな音楽を演奏している姿でしょう。このイメージをもっと深めましょう。どんなサウンドで、どんなフレーズであなたはサックスを吹いていますか?イメージを深めれば深めるほど、自分の「夢」が膨らんでくると思います。この「夢」が楽器を始めるときに絶対的に必要なものであり、楽器を続けるときに是非忘れて欲しくない物です。
夢は出来ないから「夢」です。でもそれに近づきたいと思うのは人間の本能です。夢を持ってサックスを始めたら、もしくはサックスを所有してから夢を考えるようになれば、きっと練習も楽しいし、挫折もし難いでしょう。夢を話せる先輩や指導者に会えれば最高です。きっとあなたの夢への近道を示してくれるでしょう。
あなたがサックスの上達に悩んでいるときも、悩みの解決法や悩みの本質を指摘してくれるかもしれません。しかし、どんなに良い指導者に恵まれても、「夢」がなければ「行こうとしている場所」が見えません。多少説教臭くなりましたが、サックスを始めるすべての皆さんに、「夢」を持って欲しいと思っています。だってそれが唯一の上達の条件なのですから。
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