サックス奏者の皆さんが、「いつも咥えているマウスピース」について、その材質の事を真面目に考えた事はありますか?
ひょっとしたら、有害物質を「舐めまくって」いるかもしれませんよ。
良く考えてみたら、お箸よりも長い時間口の中に入れていると思いませんか。
さあ、とっても「何で出来ているか?」が心配になって来たのではありませんか?今日はマウスピースの材料についてお話しします。
基本的にサックス等の本管楽器のマウスピースは、口に入れて人体に不具合をなす有毒材料で出来ているものはありません。しかし、鉛による人体への有害性が軽んじられていたころに製作されたヴィンテージのメタルマウスピースのなかには、鉛成分を多く含んだ金属で出来ている物もあります。
しかしご安心ください。そのマウスピースでサックスをどんなに長く吹き続けても、材料の影響が体調に現れるほど有害成分は体に取り込まれません。
マウスピースをガシガシかじっても、歯が削る材料の量はそんなに多いものではありません。またメタルのマウスピースは多くの場合、貴金属系の安定した金属でメッキがされており、表面は「舐めても安全な金属」になっている場合がほとんどです。サックスのメタルマウスピースのほとんどは、銅の合金の真鍮系、またはステンレススチール系の金属で出来ています。そしてその上に金メッキや銀メッキ、ニッケルメッキ等がなされています。
「舐める物」としての注意は、「錆びがひどいものを使うのは要注意」くらいでしょうか、金属の酸化物である「錆び」は、有害なものも少なくありません。また錆は簡単に剥がれて、ロの中に入る可能性があります。メタルマウスピースはまめなお手入れで、錆を出さないようにするのが良いでしょう。また錆だらけのヴィンテージマウスピースを手に入れたなら、しっかり磨いたりして、錆をなるべく落として使ってください。
ハードラバーのマウスピースのほとんどの材質は「エボナイト」という人類最初の合成樹脂です。天然ゴムに硫黄を混ぜ、焼成して固めます。黒壇(エボニー)のような合成樹脂、ということでエボナイトと名付けられました。その他にはレジン系の樹脂やプラスチックが使われているラバーマウスピースがありますが、これらも健康に無害な材料です。
マウスピースの材料と健康を考えるとき、注意して欲しいのは「削りカス」です。メタルマウスピースも樹脂製のマウスピースも、加工するためにヤスリをかけ、材料が粉になったものには要注意です。どんな金属も、また樹脂も、粉になって肺に入った場合は、決して健康に良いものではありません。マウスピースを削るときは、是非マスクをしてください。
——————————————————————————————–
——————————————————————————————–