サックスを持っての移動は、歩きや自動車ばかりではありません。自転車やオートバイに乗ってサックスを運ぶことも少なくないケースです。 オートバイでサックスを運んでいる人は、それなりの「覚悟」を持ってのことだと察しますので、あえて言及はしませんが、自転車(ちゃりんこ、ってよく呼びますね)でのサックス運搬についての注意をお話ししましょう。 サックス吹きの自転車移動で一番注意するのは、無理をしない普通の姿勢で、安全に自転車を運転できることです。片手運転やベルに手が届かない、ハンドルが上手く操作できない、そんな状態にはならないようにしましょう。 多くの「ちゃりんこ愛用」サックスプレーヤーは、ソフトまたはパックケースを肩からたすきに掛け、背中に背負って自転車をこぎます。譜面やスタンド、フルートの入ったバックパックを前に掛ける強者も…。前カゴが有ると便利ですね。リュックタイプに背負えるケースならかなり楽ちんですね。 ここで注意していただきたいのは、サックスの「お尻」を決して荷台の上に付けないでください、ということです。背中にサックスを背負い、その底部を荷台や自転車に接触させると、重さがそこで支えられ、かつぐ自分への負荷が低減します。サックスを縦に自転車に積み、自分の体で落ちないように支えている、と言う状態は…厳禁です。自転車の振動がサックスケース、そしてサックスに直接伝わり、サックスを上下に振っているような状態です。 サックスに立て方向の振動を与えると、シャフトから90度の角度で付けられているキーカップのステー(横棒)が上下に振られます。これがテコの原理でパッド位置のズレにつながります。自転車の揺れでサックスを上下に振り続ければ、パッドがずれてトーンホールの息漏れにつながります。 自転車の前かごにサックスを入れて運ぶのも、同じ理由から感心しません。このように自転車移動でサックスを背負っている場合は、ショルダーベルトたすき掛け、サックスは斜めになるような状態、細かな振動は背中で吸収するよう「背中の上に乗っている」感じ。こんなのがベストです。 「担ぎ方」が決まったので、自転車自身の乗り方です。ま、普通に乗れば良い訳ですが、大切な楽器と一緒なので、「倒れそうになったら自転車を捨てる」気持ちで乗りましょう。走行中にスリップや段差で転びそうになったら、自転車から飛び降りて、自分が立っていられるように心の準備をしてください。それで自分も楽器も安泰です。ま、自転車はどっかにぶつかるかも知れませんが…。 ——————————————————————————————–
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