ピアノやギターと異なり、管楽器は「妥協の音程」が前提の設計になっています。特にサックスは設計上の構造から、「この音は下がり易い」、「この音は上ずり易い」という傾向が決まっています。自分の楽器でそれの癖を明白にするには、安定したアンブシャで、各音を測定し、「音程傾向表」を作ることもひとつの手です。良く言われる、「耳で吹け」なんて格言もあながち間違いではありません。 今日はサックス吹きのピッチに関する問題について考えてみましょう。
「ピッチ」というと、「音程を外さないよう、ピッチを意識して吹いてください。」なんて言われるように、各音の音の高さの正確さ、または狂いを指すことが多いようですが、実は正確にはこれは間違いです。 ピッチとは楽器全体の音の高さ・低さを指し、音一つ一つの高さの正確さは「イントネーション」と言うのが正しい使い方です。
しかし、今更そんなことを言われても、混乱する方々もいらっしゃると思いますので、常識的な範囲で「ピッチ」という言葉を使わせていただきます。
で、サックスの構造上のピッチ傾向ですが、ざっくりと言うと、オクターブキーを押さないソ#からド#はやや低く目に、またオクターブキーを押したレからミはやや高くなるというところです。ですからこれらの音を使ってチューニングをすると、楽器全体の音が高めに上ずったり、低めになったりと言う結果が生じてしまいがちです。
しかしこれらの音の高さの誤差は、決して大きなものではありません。演奏の最中に、自分の音を聞きながら、アンブシャ(口の締め具合)のコントロールで正しい音程に持っていくことは十分可能です。 一番大事なことは、正しい状態を理解する、ということです。
もしビッグバンドの13人の管楽器(だけ)が一斉に音を出したとき、あなた以外の全員がピッチが狂っていたらどうしますか? 「俺は正しい」と吹き続けるか、「しょうがないから全体に合わせよう」としますか? 正解は…ありません。音楽は正確な音程だけで成り立つ芸術ではないことを忘れないでください。
ピッチを正確に吹くことが、演奏の基本であることは間違えありません。ピッチの悪い演奏者は決して褒められることはないでしょう。サックスの先生も、クラブの先輩もピッチについてはかなり口うるさいと思います。ピッチは楽器演奏者にとっては最重要課題です。
が、しかし、しかし、しかし。あえて言わせてください。正確なピッチ、ピッチコントロールはあくまで「手段」であり、目標は「良い音楽」です。決してそれを忘れないようにしてください。
たまには良い事、言うでしょ?
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