サックスの場合「セッティング」と言うと、マウスピース、リガチャー、リードの種類とその組み合わせのことを指します。まあ、「口周りの工夫」てぇとこでしょうか。
セッティングには色々な「定番」や「マニアックな噂」、ひいては「都市伝説」的なネタまで、様々な情報があります。そんな話を色々な角度からお話ししたいと思います。
今回は、フュージョン系アルトの定番、「ボビーデュコフ」をば。
フュージョン系のアルトサックスと言えば「デビッド・サンボーン」。そして彼の愛用のボビーデュコフのメタルマウスピースは、必然的に「フュージョンアルトのマウスピースの代表」になっています。
細身でハイバッフル、突き刺すような鋭いサウンドが特徴の、いわゆる「デュコフ・メタル」の愛用者はとても多く、人気のマウスピースではありますが、セッティングには多くの悩みがあるようです。
まずはセッティング以前の問題で、「個体のばらつき」が大きいことで有名です。
例えば同じモデルのD7でも、5本吹き比べれば五つの個性、五つの吹奏感があります。
ハンドフィニッシュと製造法によるもので、ブランドマウスピースには決して珍しい事ではありませんが、デュコフの場合は特に顕著なようです。
デュコフのセッティングの焦点は、リガチャーにあると思います。
オリジナルの付属リガチャーは、マウスピースの個性を強調すべく、金属的で、シャープな響きがストレートに出ます。しかしこのへんの特徴には「塩梅」や「加減」というものが重要で、「もうちょっと柔らかめに」とか「もう少し太い輪郭を」などという変化のためには、別のリガチャーを試すのが一番効果的です。バランスや鳴りを重視するプレーヤーは、ハリソンやウッドストーンの「デュコフサイズ用(細身のメタル)」と銘打ったリガチャーを使用する方が多いようです。
また輪郭のエッジを丸め、音の太さや圧力を重視する場合は、ロブナーやGFシステム等のベルト系のリガチャーを使うと効果があるようです。
またデュコフメタルは典型的なハイバッフル系マウスピースで、マウスピースの息の入り口付近の容積が小さく、「息は入り易いが、コントロールし難い」という特徴があります。吹いてみて、「難しい」と感じたら少し番手の小さ目のリードを試してみると効果がある場合があります。今が2-1/2なら2とかです。
またリコからバンドレンZZへ、等のリード全体のしなりの特徴を変えてみるのも得策です。
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