「サックス吹きにとってマウスピースは、愛すべき体の一部・相棒であり、かつ一生悩み続ける原因の筆頭である」。これは、かのジョン・コルトレーンが言ったとか言わないとか、多分言ってないけど思ってたかも、という格言である。ま、そのくらい「マウスピースへの悩み」のネタは尽きない。
伝説のテナー吹き、ジョン・コルトレーンは、度を越えたマウスピースの研究と自らの手による改造・工夫によって、お気に入りのマウスピースをおしゃかにしてしまい、それ以降の演奏はなんかぎこちなく、熱の入らない、魅力半減のものだった、という話は有名な「マウスピース改造の失敗例」である。
晩年のコルトレーンは重度の歯周病で、通常のアンブシャーが出来なかったそうで、奏法の特殊性もマウスピースへの要件となっていたらしい。このようにプレーヤーに対してのマウスピースへの要求は千差万別で、またどのようにそのマウスピースが自分の要求に応えてくれるかはマウスピースによってまちまちである。自分にとって最高のマウスピースに出会う確立は、たぶん「最高のお嫁さん(お婿さん)」に出会う確立よりも格段に低いと思う。
だって結婚や人間同士の関係は、お互いに育ったり変化したりすることが出来るが、マウスピースは「育って」くれないし、ヤスリでゴシゴシしないと何も変わってくれない。非常に冷たい相棒である。
そんなマウスピースであるから、「最高のものに出会う」ための一番一般的な方法は、「手当たり次第に吹いてみる」ことである。マウスピースを10本吹けば、自分がマウスピースに対して何を求めているのかが分かるようになる。
マウスピースを100本吹けば、それらのマウスピースのどこが長所でどこが短所かが分かるようになる。マウスピースを500本吹けば、見ただけで良し悪しが分かるようになる。マウスピースを1000本吹けば、… きっと何がなんだか分からなくなる。
自分にとってのベストマッチのマウスピースを見つけるということは、本当に「出会い」としか言いようの無い偶然かもしれない。
そのために色々なマウスピースを吹きまくろう!そして今の自分と今のマウスピースに何がかけているかを発見しよう。ちょっと気になるマウスピースがあったら、自分のサックスを持って楽器屋さんで試奏してみよう。「おお、これだ!」、というマウスピースに出会えるかもしれない。
ただ、買って3ヶ月ほど経った頃、「あれ?良いんだけど、ここはなんとかしたいなぁ…」なんて、出会いのときの最初の熱が冷め、冷静な判断力が頭をもたげてくるようになると「アラ」も見えてくる。そしてまた新しいマウスピース探しの旅に出掛けるのだ。
異性に対してはこのような移り気は抑制すべきではあるが、マウスピースに関しては「金と気力の続く限り」、出会いへの旅を続けて良いと思う。…思います。…多分。
AIZEN マウスピースはこちら
先着50名様限定! お買上げ金額が1万円以上のお客様に、高知県の特産品を1個プレゼントキャンペーン実施中