同じサックス吹きでも、アルト奏者はバリトンサックスやテナーサックスの多くは知りません。自分の吹いているサックス以外のことは意外と知らないものです。何かの際の役に立つかも、程度のノリで、各種サックスのそれぞれの常識や「あるあるネタ」を紹介しましょう。今回はアルト編です。
アルトサックスはサックスの王道とも言うべき、最もプレーヤーの多いサックスです。その音色、大きさの手頃さ、操作のし易さは同じサックスの仲間の中でも群を抜いており、それゆえに「初心者はアルトから」というアドバイスが定番になっています。アルトサックスのネックの角度は、奏者に対して理想とも言える角度が実現されており、演奏姿勢も無理なく理想形を維持することが出来ます。またベルも奏者に近く、「自分の音が良く聞こえる」のがアルトサックスです。操作系をコントロールするシャフトの長さにも無理がなく、指の操作に対する楽器の反応もスピーディーです。速いフレーズを吹くためには、アルトサックスは最適のサックスです。
なにか、「パーフェクト・サックス」の感があるアルトサックスですが、アルトサックス吹きにはそれなりの悩みや不具合も、決して無い訳ではありません。ま、ほかのサックスの奏者からは、贅沢な悩みと言われかねないものもありますが。悩みの第一番目は、座奏時の構え方です。アルトサックスの長さだと、体の右側に構えようとすると、妙に両足を左側に捻らなければなりません。男性奏者がこれをやると、妙な「シナ」を作ってる感じです。なもので、通常ビッグバンドのアルト奏者は、サックスを両足の間に挟みます。例えるならば、「釣りの格好」とでも言いましょうか。男性の場合はそれなりに収まりますが、こんどは女性アルト奏者の場合に、なにか違和感のある見栄えになります。要は、アルトサックスは「非常に中途半端な大きさ」なのです。
急にまじめ、かつ哲学的な話に移りますが、今度はアルト奏者のサウンドの悩みです。多くの音楽好き、ミュージシャンに聞きましたが、その多くは、「アルトサックスらしいサウンドというのがある!」と断言します。聞くほうも吹くほうも、一緒に演奏する仲間にも、アルトサックス奏者は「アルトらしい音」を期待されているのです。それなのにマルセル・ミュールのサウンドもディビッド・サンボーンのサウンドも、時代を超えたアルトサウンドです。だれにも、「何がアルトらしいか」が分からないのです。テナーもバリトンも、「自分らしいサウンド」で多くの皆さんは納得してくれます。しかしアルトの場合は、「なんか、アルトの良さが出てないな!」なんて文句を言われたりします。アルトサックス吹きの皆さん、経験ありますよね?
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