もの凄く簡単に言ってしまうと、サックスは円錐形の「パイプ」です。パイプですのであちらこちらにつなぎ目があります。もし人間による操作が可能であれば、サックスは「一直線つなぎ目無し」が理論上は最高らしいです。しかし演奏可能で、かつ操作しやすい楽器となるためにはそうはいかないので、曲げたりつないだりと、サックス君は文字通り、色々捻じ曲げられているわけです。特にサックスを含めた管楽器では、「つなぎ目」は息漏れや振動伝達という観点で非常に重要です。繋ぎ目の「お手入れ」についてお話ししましょう。
サックスで最も重要な「つなぎ目」は、2番管とネックの「つなぎ目」、ネックジョイントです。もうすでにご存じとは思いますが、ここにオイル等の潤滑油は絶対に注さないでください。(一部の音質改善用のオイルは例外です。)ネックジョイントは各メーカーの卓越した技術により100分の1ミリレベルの誤差で仕上げられており、オイルなど注さなくても息漏れ等が起きないように「ピッタリ」と作られています。ですので、ネック側のソケット(テノン)、本体側のネックレシーバーへの打痕や歪みには十分気を付けてください。何の傷や変形が無くても、ネックの差し込みが硬くなることがありますが、これはほとんどの場合「ホコリ」が原因です。サックスを使用した後、念入りにネックソケットや本体の内側を吹き掃除していても、長い間にホコリがつなぎ目の隙間に溜まり、ジョイントの具合が悪くなったりするのです。
プロのリペアマンはネックジョイントの掃除には「ロウソク」のパラフィンを使います。まずネックソケットの外側にロウを塗り、それを温めて均一に塗り延ばします。そしてそのネックをサックス本体に差し込み、数回ぐりぐりと回転させます。これはネックと本体の間にたまったほこりを「ロウ」の中に練り込ませ、ジョイント部の表面からホコリを完全に消去するための作業です。この後、ライターオイルや溶剤を使って、丁寧にロウを拭き取れば、ロウと一緒にホコリが取り除かれ、本来のスムースな動きのネックジョイントとなります。溶剤だけでは完全にホコリが取れないので、この「ロウ」を使います。プロでなくても難しい作業ではありませんが、ロウの拭き取り残りが無いように注意してください。この作業はフルートのネックジョイントでも同じです。
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