バンドの皆でB♭もしくはAでチューニングをした後、いざ曲を吹くとほかの音の音程が狂っている、なんてことを皆さんの多くの方が経験していると思います。サックスは理論的に厳密な音程が出る楽器ではありません。それゆえにサックスの奏者が、その音程をコントロールしなければなりません。そんなサックスには、メーカーによって「スケールの癖」があることはご存知でしょうか?今回はその、「スケールの癖」についてお話ししましょう。
サックスメーカーのそれぞれは、それぞれ独自の設計、また製造方法のノウハウを持っています。例えば同じアルトサックスでも、そのトーンホールの大きさ、位置、オフセット(トーンホールの横方向のずらし具合)寸法等、すべての寸法・サイズは千差万別です。何の音程のコントロールもせずに各社の別々のサックスを吹いた場合、それぞれ特色のある「音程の狂い方」をします。「Cのスケールを吹くと、真ん中のシが低めになる」、とか、「Fのスケールは比較的狂いが少ないが、Aのスケールはびっくりするほど狂う」等、音のそれぞれ、また音のつながり方によっても音程の癖がメーカーごとに異なります。それがその楽器の「スケールの癖」です。長年、近代のヤマハのサックスを吹いていた人が、セルマーを吹いたときに、「あれっ?」って感じることがあります。逆もしかり、かつほかのメーカー間でも同じです。その違和感がメーカーの「スケールの癖」です。
近代の進んだ技術によって、サックスを演奏するロボットはすでに完成しています。しかしその一番難しいところが、出音の音程をチェックし、素早くロボットのアンブシャを変えて、ピッチをコントロールするスピードだそうです。サックスを演奏する人間のサックス奏者は、ロボットも腰を抜かすほどのスピードで自分の音を聞き、それに反応して音程をアンブシャで調整します。やっぱ人間は凄いです。この「楽器のスケールの癖」もある程度の上級者であれば、5分も吹けば自分の感覚に吸収してしまい、正しい音程で吹けるようになってしまうそうです。
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