「サックスと蛍光灯」というタイトルを見て、多くの方が「何のこっちゃ?」とお思いになったことと思います。蛍光灯と言っても特別なものではありません。天井に照明用についているあれです。しいて言えば、「真っ直ぐな棒の蛍光灯」です。今回の話は楽器店の方、リペアマンの方々が実にうまく蛍光灯を使って、サックスをチェックする、その方法についてです。
天井の蛍光灯は真っ直ぐです。直線です。丸い奴は忘れてください。この真っ直ぐな蛍光灯は、何かに反射して映ったときも真っ直ぐです。サックスの管体を両手で持ち上げ、サックスの左側のキーシャフトのないほうの部分に目を近づけて、真っ直ぐな蛍光灯の反射像を見てみてください。格好としてはライフル銃を構える感じです。このとき蛍光灯の「線」をサックスの管体に平行に、かつ管体の真ん中で反射させます。この方法で真っ直ぐな蛍光灯を見ることが出来たら、そのサックスの管体は直線です。しかし曲がって見える場合は管体が曲がっています。サックスは意外と「曲がる」楽器です。特にヴィンテージサックスを選ぶときなどは、この方法で管体の間借りをチェックすると良いと思います。ただし、「曲がり」イコール「不良」ではないのもサックスの特徴です。管体の曲がりを見つけたら、即、要修理という訳ではないのでご安心ください。同じように蛍光灯の反射でシャフトの曲がりをチェックすることもできます。
また同じように蛍光灯の反射を利用して、管体の凹みを見つけ出すこともできます。真っ直ぐな蛍光灯は、反射するものがちゃんとした平面であれば、必ず真っ直ぐに映ります。これを利用して表面の凹みや、歪みを発見することが出来るのです。「こういう形なら、蛍光灯はこう映るはず」というのを頭で考え、そう映るかどうかをチェックしてください。理論的に正しい映り方がイメージできなければ、このチェック方法は何の意味もありません。ちなみに余談ですが、自分のサックスの写真をデジカメやスマホで撮影するとき、普通は蛍光灯の映り込みは嫌なものですが、この「真っ直ぐな蛍光灯の反射」を上手に利用すると、カッコ良い写真が撮れる場合もあります。
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