サックスという楽器は意外とさみしがり屋で、いつも気にかけていてあげないと、ある日突然ストライキをおこします。複雑なメカニズムで定期的なメンテナンスが必要なサックスですので、「故障」は日常茶飯事です。しかし、常時その「愛サックス」の状態に気を配り、サックスの声に耳を傾けていると、大きな故障の前にその原因に対処することが出来ます。そんな、「サックスの声の聴き方」についてお話しします。
サックスの故障で一番多いケースがパッドの密閉不良です。定期的なバランス調整では、しっかりとパッドの閉まり具合を調整し、最高の状態に戻し、トーンホールが適切に塞がるようにしてくれます。しかし何らかのアクションや操作上の不具合で、局所的にパッドの状態が狂う場合があります。頻度の多いケースとしては低音側のパッドの不具合です。この場合、ド♯、ド、シ、シ♭の出方が均一でなくなります。どれかの音が吹き難くなったり、籠ったサウンドになります。シの音が出難くなる場合が多いようですが、実はこれはシのパッド不良とは限りません。別の場所のパッドの不具合がシの音に影響を与えている場合が少なくありません。これら四つの音がスムースに出ない場合は、すぐにリペアマンに相談しましょう。また左手系の音、特にオクターブキーを押した状態でのソからドまでの音が、「ひっくり返る」ようになったら、これも故障の前兆です。「ラの音がひっくり返る」というようにリペアマンに相談すれば、原因によってはすぐにその場で直してもらえる場合もあります。
次に多い「故障の前兆」は「音」でしょう。とくに左手小指のキーから音が出始めたら、どこかのキーメカニズムが干渉し、異音が出ている場合でしょう。小さなコルクが外れていたり、どこかのシャフトが曲がっていたりしたら、ほうっておくと重症になるかもしれません。また左手小指のG♯キーを強く押したときに、開いたカップがプルプルと揺れる感じになる場合があります。これもカップ周りの故障の予兆です。開いたカップを止めるフェルトの摩耗や、バネのへたりが考えられます。自分のサックスを吹いていて、何か変な振動を感じたら、やはりリペアマンに相談してください。サックスは非常に繊細です。少しでも、「何かいつもと違うな??」と感じたら、リペアマンに相談するのが一番の得策です。
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