皆さんはサックスの練習をするとき、どんな事に気をつけていますか?しっかりと息を吹き込んだロングトーン。12キーのメジャー、マイナースケールをスムースに吹ける様に繰り返しの練習。定番フレーズの反復練習。サックスの基礎練習の方法は沢山あります。そんな練習で意識したいのが、「良い音を出すこと」です。多くのサックス奏者、またサックス演奏の教育者が、「サックスの良い音」について言及されています。
高名なサックスの教育者の方々が共通して憂いているのが、「サックス奏者の音質に関する無頓着さ」です。サックスは他の管楽器に比べ取っ付きが良く、挫折の少ない楽器だと言われています。比較的簡単に音を出すことが出来ますし、洗練された運指構造により、音楽を比較的簡単に演奏することが出来るようになります。またマウスピースや楽器管体の表面処理等の違いで、サウンドのバリエーションも豊富です。特にジャズ等では、表情豊かなサウンドで感動を誘発するような表現力を持っています。しかしこんな楽器、サックスだからこそ、多くのサックスプレーヤーが「良い音」への意識を忘れていないか、ということです。実は音の出し易いサックスだからこそ、簡単に汚い音を見逃してしまいがちなのです。
クラッシックの世界では、楽器の音色でサックス嫌いを公表している音楽家は少なくありません。またジャズのサックス奏者がブラスバンドやウインドアンサンブルに参加すると、「その汚い音、なんとかならない?」と言われることもしばしばです。サックスの音の汚さを真面目に考えると、実は沢山の要素が考えられます。タンギングによるノイズ、アンブシャによる音の輪郭のノイズ、サウンドそのものの倍音成分のアンバランスなど等、他の管楽器では習得の初期段階でクリアされるべき音質の問題が、サックスの世界ではかなり放置されたままなのです。しかしこのような「汚さ」の要素をひとつひとつ潰していけば、サックスでも美しい音色は絶対可能なのです。
特にジャズサックスを指向しているサックスプレーヤーの方々は、感情表現やエモーショナルということと、汚い音とを分けて考える必要があります。美しいサウンドで表情豊かな、人間臭い音楽は可能です。ここで大事なのは、サックスの「良い音」は唯一無二のひとつだけではなく無数にあるということです。要は「汚い要素」が少ないほど「きれいな音」なのです。カラオケでも、歌が上手い人は声もきれいですよね。充分個性的で、かつ美しい声。そんなサックスの音を出したいですよね。
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