前回はマウスピースの初級改造術として、「削り方」についてお話したので、今度は「盛り」についてお話しましょう。バッフル(マウスピースの内側の外から見えている部分)を低目から高めにして、ハイバッフル系マウスピースにすることで音色が明るくなります。この加工は結構リスク無しでできますので、「もうちょっと音を明るくしたい」、「息のスピードを上げたい」等の場合に有効です。チャーリー・パーカーやジョンコルトレーン等、彼らの時代はマウスピース内部にチューインガムをくっ付けてこのような改造をしたそうです。現代でお薦めなのは、小麦粘土です。ほんの少しづつマウスピースのバッフル部に盛り重ねていき、乾かしてから表面を紙やすり等で滑らかに削って試奏します。失敗した場合はマウスピースをしばらく水に浸けておけば、小麦粘土は再度柔らかくなり、何事も無かったかのように取り外せます。バッフルは各マウスピースで見事に千差万別の設計がなされていますので、目指すマウスピースを良く観察し、そのマウスピースのバッフルの形状を真似るのが一番の正攻法です。小麦粘土による「テスト」が成功した場合は、耐久性を持ったプラスチックパテで同じ形状を作るのも良いでしょう。しかしこの素材の場合は成分中に接着剤が含まれていますので、元に戻すためにはかなり苦労するので注意してください。
正直なところ、自分でのマウスピースの改造はお薦めできることではありません。何本もマウスピースを試して、自分に合ったものを選ぶ。または、プロのマウスピース・チューナー(マウスピースを調整し、機能や吹き心地を向上させる技術を持った職人。ハンドメイド・マウスピース製作者であることが多い)に依頼して改造してもらうのが一番の早道です。しかし、多くのサックス吹きはマウスピースをいじりたくなります。市販のマウスピースを見て、ちょっとした形状や仕上げの差で、とんでもなく吹き心地やサウンドが変わるのを知っているからです。マウスピース改造に熟練するには、それなりの「授業料」が必要です。そう、ダメにするマウスピースの値段x本数です。自分なりの技を身につけるまでには、その授業料は超レアなヴィンテージマウスピースが何本も変える値段になると思います。また改造の目標を作るには、名品マウスピースの知識も必要です。何十本もの名マウスピースを、買うなり借りるなりして知識を蓄える必要もあります。そう、良いマウスピースに巡り会うまで旅を続けるほうが得策です。
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