サックス奏者のほとんどが定番のように「マウスピースを探す長い旅」を経験します。自分の求める、自分に合ったマウスピースに巡り会うまで、あれやこれやと色々なマウスピースを試します。そして、「これだっ!」と思い、満足しながら演奏しているのも束の間。また、「うーん、何か違うかなぁ?」、との雑念がすぐに頭をもたげます。特に長くジャズサックスをやっている方は、10本や20本のマウスピースは当たり前のように「通過」しています。そしてこの「マウスピース病患者」のなかには、禁断の領域である「自分で改造」に至ってしまう方々も少なくありません。これらの患者さん、いやマウスピース改造ファン、または予備軍のために、危険を覚悟で(笑)、マウスピース改造法の初級を指南します。
指南と言っても私はプロのマウスピース・リフェーサー(マウスピースを改造、修理する職人さん)ではありません。良いマウスピースに改造するポイント、なんてお教えすることは無理です。しかし「マウスピース改造ファン」のひとりの経験談として聞いてください。最初のポイントは、「ティップには絶対触らない」です。マウスピースの先端、いわゆるティップはそのマウスピース独特のカーブを描き、かつその先端は薄く、綿密に計算された厚さの変化が加工されています。それゆえに、事故によるマウスピースの先端の欠けや傷はマウスピースの機能に大きく影響します。カーブを変えようとしたり、厚みをヤスリで変えようとは決してしないでください。かなりの致命傷で、そのマウスピースが使えなくなってしまう可能性が高いです。改良または改造を目指して加工すべき部分は、バッフルやチェンバー、もしくはサイドウォールです。あ、それにマウスピースがゆっくり曲がっていき、リードとの間隔を形成しているカーブ、フェイシングもあまり触らないほうが懸命です。素人がここを加工すると、マウスピースからまったく音が出なくなってしまう場合があります。
バッフル、チェンバー、サイドウォール(横の内側)の加工はヤスリが良いでしょう。500番程度の細かい紙やすりが、やり過ぎや無駄な苦労の少ない粗さだと思います。紙やすりを小さく気って、「ここぞ!」と思う所を優しく擦ってください。チェンバーの入り口全体、バッフルの中程から奥にかけての中心部周辺、サイドウォールの凹み部分を少し擦ると、マウスピースの抜けが良くなる場合があります。あくまでも「場合がある」です。またこの作業で、他の部分に傷を付けないよう、細心の注意を払ってください。作業の時間を短縮するために金属のヤスリを使う方がいらっしゃいますが、熟練者以外にはお薦めできません。
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