最近は銀製のマウスピースや、各部に銀を使ったサックスも一般的になっていますので、サックス吹きにとっても「銀」という金属は馴染みの深いものになっているようです。かつては「銀」といえばフルート吹きの専門分野(?)でしたが、最近の状況では、サックス吹きも銀について知っておいたほうが良いでしょう。今日は楽器用の材質、「銀」についてお話します。
フルートは銀素材がかなり一般的です。頭部管のみ銀、管体も銀、キーメカも銀、と値段が上がっていきます。全体が銀のフルートはとても柔らかな暖かい音がして、最もフルートらしい音がするとされています。しかしここでいう銀は、決して「純銀」ではありません。純銀は素材として柔らか過ぎて楽器の材質には向きません。楽器で「銀」といった場合は、通常銀の含有率が92.5%の合金、「スターリング・シルバー」を指します。銀以外に何を配合するかは、楽器のメーカーによっても異なるようです。また配合の比率も、楽器メーカーの特性があります。最近では「ブリタニア・シルバー」と呼ばれる、銀配合率95%以上の銀を使ったフルートも注目されています。合金の技術が進み、理想的な響きでかつ加工し易い固さの「銀合金」が開発されています。
有名な銀製サックスには、ヤナギサワのシルバーソニック・シリーズやセルマーのスターリング・シルバー製SERIE III等があります。いずれも真鍮製とは異なる、独特の温かみをもったサウンドが特徴です。また交換用の単独ネックの銀製も人気が高いようです。多くのメーカーがスターリング・シルバー製のネックを発売しています。テナー用の銀製ネックの場合は、柔らかい銀のせいでネックが曲がりやすいため、ネックを補強するネックステー(ネックのカーブを支える支柱)が付いているものも多いようです。銀製のネックは、息の抵抗感が強めです。たっぷりの息を入れると、独特の柔らかで太いサウンドを得られます。
銀に非常に似た特性を持つ合金、洋銀(または洋白)も銀の類似の材質として楽器に多く使われています。洋銀といっても銀は全く含まれておらず、銅と亜鉛、ニッケルの合金です。フルートでは価格が安いことから、もっぱら普及品の材料に使われています。弱点は酸に弱いため、通常は銀メッキを施します。サックスではキーパーツやネックソケット等、部品用素材として利用されている場合が多いようです。
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