ヨーロッパで生まれたサックスは、ヨーロッパ人の大きな体、そして大きな手を基準に設計されているので、小さな体で小さな手の日本人には向いていない、というひとがいます。これは大きな間違いです。ヨーロッパにだって体の小さな、手も小さい人は沢山います。サックスを発明したアドルフ・サックスさんは、ちゃんと奏者のどんな体型にも対応できるように、サックスの基本設計をおこないました。が、しかし、メーカーによって「フィンガーポジションの癖」が存在します。どこのメーカーがどう、とは言い難いのですが、今日は日本人に向いたサックスとは、を考えましょう。
私が声を大にして言いたいのは、「サックスをもっと軽くして欲しい」、ということです。私は決して小柄できゃしゃなほうではありませんが、やはりストラップを通じて首に掛かる、サックスの重量は気になります。テナーやバリトンサックスは、運ぶのも辛いくらいではないでしょうか。小学校の吹奏楽部等で小さな子供さん達が、テナーやバリトンサックスを重そうに持っているのを見るとかわいそうで仕方がありません。最近はグラファイト樹脂製で、高性能な超軽量アルトサックスが世に出回っています。テナーやバリトンもラインナップすることを切に願います。
またキーポジションも要研究ですね。バリトンサックスのなかには右手小指がキーに届き難いモデルがあります。また、アルトやテナーでも微妙に力が入れ難いキーポジションのサックスがあります。ヴィンテージサックスに至っては、「これ、どうやって操作するの?」なんてキーポジションのものも少なくありません。日本人向けなら、日本のサックスメーカーのヤマハやヤナギサワが良いのでは?と思われるかもしれませんが、ヤマハもヤナギサワも「世界」を相手にサックスを作っています。決して日本人向けサックスではないので、誤解しないようにしてください。
あと「日本人向けサックス」で考えて欲しいのはケースです。車よりも電車の移動手段が圧倒的に便利な日本の都会では、満員電車でも楽器を安全に、かつ周りに迷惑をかけないように運びたいですよね。そういえば、サックスのケースの立て持ち時の取っ手を、「サブウェイ・グリップ(地下鉄の持ち手)」って呼んでいるアメリカのケースメーカーがあります。また、リュック型に背負えるケースも増えて来ました。こういう工夫が日本では嬉しいですよね。
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