今回は重箱の隅をつつく様な、えらく細かいことから話し始めます。でもあまりに誤解しているサックス奏者が多く、話題によってはその誤解によって全然ちぐはぐな説明になってしまうこともあります。それが「ピッチ」という言葉の誤用です。
ピッチは日本語で音の高さを示します。音の空気振動がどれだけの速さでおこなわれているかに起因しています。楽器でピッチというと、その楽器がどの音の高さを基準に設計されているかを「楽器のピッチ」と言います。
クラリネットの場合は、ローピッチの楽器はA=440~442Hz、ハイピッチの楽器で443~445Hzというようにはっきり分かれています。現代のサックスのほとんどはローピッチで設計されています。そしてチューニングをするときに、「今日のピアノのピッチは442だよ。」などと使い、あなたのサックスはA=442Hzのピッチでチューニングします。
ピッチは楽器全体の音の高さです。寒いところでチューニングした場合、ステージが暑い場所なら楽器のピッチは高くなってしまいます。ご注意を!です。
「僕のサックスはピッチが悪くて、Gでチューニングしてもすぐ上のCでは凄く下がってしまうんです。」、という文章は厳密に言えばピッチの誤用です。
この場合はイントネーションを使います。サックスの各音の音の高さの傾向はイントネーションと呼びます。イントネーションは音の抑揚や音高の上下の傾向です。でもイントネーションを矯正することは「ピッチ・コントロール」(音の高さの制御)です。そして一番の誤解の原因は、多くのプレーヤーやミュージシャンが、「ピッチ・コントロール」を「ピッチ」と略してしまっていることに起因しています。
「2小節目の伸ばしの音。お前のピッチが悪いからサックスパートのハーモニーが気持ち悪いよ!」、なんてフレーズを良く聞きますね。正確に記述的文章に直してみると…。
「2小節目の伸ばしの音で、君の楽器のイントネーションが悪く、かつ奏者である君が適切なピッチ・コントロールによって正しい音程に補正することが出来ていないので、サックスパートのハーモニーがアレンジの意図する響きになっていないよ。」、となります。ちとイラつく文章ですが、本意は伝わりましたでしょうか?
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(AIZEN NY アルトサックスマウスピースご購入 三浦廣子様 のお声)
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