ジャズサックス奏者の中には、近代サックスのほとんどに付いている「ハイF♯キー」を、まるで罪悪のようにとらえているかたが少なくありません。ジャズ用にいくつかのメーカーは「ハイF♯キーレス」をわざわざ作っているモデルもラインナップしています。さてこの「ハイF♯キー」はそんなに悪者なのでしょうか?
悪者説の理由をあげましょう。まずは「重たい」。ひとつトーンホールが余計に付いていますので、それを塞ぐカップ、ロッド、キーメカニズム、ポストはそれなりの重量です。しかもネック直下の位置ですので、音質に与える影響も少なくありません。また、「無くてもハイF♯は出せる」という理由。フロントFキーとB♭キーの組み合わせで、簡単にハイF♯の音は出す事ができます。というより、こっちの運指のほうが簡単で、便利です。
あったほうが良いと言う「善人説」は…あまり聞きません。というより、現代サックスでは付いているのが当たり前ですので、正確な音程はこのハイF♯キーで出すのが一番です。大体設計がそうなってるんですから。また、サックスとしての全体設計も「ハイF♯キー有り」でおこなわれています。フラジオや倍音も、「ハイF♯キー」があって一番出易くなっています。「ハイF♯キーなし」モデルはそれなりの設計と調整が必要です。また強度の点でも「ハイF♯キー」のシャフトはサックス全体に貢献しています。ま、無いよりはあったほうが良いのではないでしょうか。
既存の「ハイF♯キー付き」モデルを改造して、「ハイF♯キー無し」モデルに改造する方がいらっしゃいます。そんな場合の注意事項をちょっとばかりお話します。「ハイF♯のトーンホール」を上から塞ぎ、不要になったメカニズムを取り除いただけでは、「ハイF♯キーレス」にはなりません。管体の内側から見たら、「ハイF♯」のトーンホールの部分が凹んだだけです。この部分が管体に滑らかになくならなければ、「ハイF♯キーレス」にはなりません。管体の内側をきれいに塞ぐ、滑らかに曲がった「フタ」をロウ付けするのは熟練のリペアマンでも大仕事です。
世間で言っている、「ハイF♯キーレス」の効果を実感した上で、それを手に入れるなり、自分の愛器を改造したりしましょう。噂だけで「ハイF♯キー」を悪者扱いするのは賛成できません。
残り2名様 AIZENから冬のこだわりプレゼント 1万円相当の豪華4大特典付キャンペーン開催中
詳しくはこちら
■AIZENテナーサックス特別仕様ゴールドブラスモデル
AIZENオリジナルフルートセット【豪華26大特典付き】
残りストレートモデル1本 ソルダードモデル2本
詳しくはこちら