サックス 本体

バリトン・トリビア


サックスの中でも、一番所有率が低いのは「バリトンサックス」でしょう。ソロ楽器としては余り手本となるスターも多くありませんし、アルトやテナーに較べれば、「欲しい!」と思う方は少ないようです。しかし、あの魅力有る重低音、奏法によっては非常に表現力も多彩なバリトンサックス。楽器も大きいので目立ち方もハンパではありません。今日はバリトンサックスの知られざる秘密をご紹介し、皆さんに、「バリトンが欲しくなる」おまじないを掛ける事にしましょう。
 バリトンサックスは、なんとネックがぐるりと一周の円を描いています。マウスピースから伸びたネックは90度下に曲がっており、そこでサックス本体に合体します。そこから本体主管はなんと一旦上に曲がり、円を描いた後でストレートな管となっていきます。しかもその円の最下部には、トランペットやトロンボーンのように、唾抜きのウォーターキーが付いています。サックスの中に入って行く息の水分は、アルトやテナー、ソプラノでは管体の奥にまで届きますが、バリトンはこの「ぐるり」のため、ほとんどの息の水分はこの中で結露し、液体になってしまいます。ですので、このウォーターキーで水を抜けば、水分が管全体に付着する事はありません。バリトンオーナー以外はご存じないと思いますが、バリトンは管体内部を掃除するスワブを通すことが出来ません。なにせあの「ぐるり」の部分がありますので。スワブを通す必要も無いし、通したところで詰まってしまうのがオチでしょう。ただし、「ぐるり」の中の水分を拭き取る特殊なスワブがあります。自在に曲がる弾力のある太い針金と木綿の布との特殊な構造で、「ぐるり」のほぼ一周の内部を掃除できるスワブがあります。先頭がロケットのようになっており、バネのような心棒でグイグイとぐるりの内部を曲がりながら進んでいきます。「おお、ここまで入るのかぁ!」と、ちょっとした感動モノです。
またメーカーの設計の違いもありますが、一般的にこの「ぐるり」部(表現が幼稚でスミマセン)にはオクターブキーが付いています。しかもこれは「第三オクターブキー」。そう三つ目のオクターブキーがあるのです。ヴィンテージのバリトンには、ネックにオクターブホールが空いているものもあります。バリトンの高音域のトーンホールはメーカーによって千差万別で、鳴りや吹き易さにも個性があるようです。どうですか?バリトン一本、サブ楽器として欲しくなりませんでしたか?(爆笑
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