サックスの日々のお手入れの重要性はご存知の事と思います。一番念入りにおこなうお手入れは何ですか?マウスピースの水分拭き?リードの保管?ネックのスワブ通し?主管の水分取り?。どこを、何を一番丁寧にすべきなんでしょうか?答えはパッドの水分除去です。その理由を説明しましょう。
「マウスピースのお手入れを慎重に!」という、マウスピースそのものの繊細さに起因した注意は別として、サックスの手入れのなかではパッドが一番重要なポイントです。サックスと言う楽器は、パッド以外は金属の塊です。それなりに湿度や高音を防いでおけば、そう簡単に錆びるものではありません。というか、多少錆びたところで意外とサウンドに対する影響は多くありません。しかしパッドは軟弱です。
鹿革等(最近はカンガルー革が人気らしいです)の柔らかな天然皮革がサックスのパッドの材料の主流です。柔らかく、水分を適度に吸収し、繰り返されるウェット&ドライ状態等、サックスのパッドに課せられた過酷な条件を満たすには、やはり天然モノが良いらしいです。そしてパッドがヘタるとトーンホールがちゃんと塞がらなくなります。「パッドのヘタり」とは硬くなって柔軟性がなくなった状態を指します。その状態ではトーンホールのエッジとの接触で、パッドが簡単に破れるようになってしまうことも少なくありません。そしてその大事なパッドを長持ちさせるコツは、「なるべく濡れたままにしておかない」の一語に尽きます。ネックや管体のスワブ通しをおろそかにしても、パッドの吸水はくれぐれも丁寧にやってください。サックスを吹いた後には吸水ペーパーを使い、丁寧にパッドの水分を拭き取ってください。特に左手より上の位置に有るトーンホールは湿度の高い息によって湿り易いです。練習の後にはびっちゃびちゃの場合が多いです。乾いた吸水ペーパーをパッドとトーンホールの間に挟み、「ぽんぽん」とキーを塞ぎます。強く塞いだまま、吸水ペーパーを「引き抜く」かたを良く見かけますが、これはお薦めできません。ペーパーが破れてパッドとトーンホールの間に残ってトラブルを起こしたり、パッドの平行の調整が狂う場合もあります。「挟んで、ぽんぽん」が基本です。
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