サックス吹きの皆さん、サックスに必ず付いている「ライアースクリュー」ってご存知ですか?音質改善グッズとして、ネックスクリューと一緒の材質で売っていますよね。このネジ、ライアースクリューは、「ライアーホルダー」に付いていて、ライアーを締めて固定するためのネジです。アルトサックスではネックスクリューの反対側、テナーではネックスクリューの横、バリトンでは主管の最上部のベル側に着いているのが普通です。最近のソプラノサックスでは、ライアーホルダーがはじめから無いものが多いですが、ヴィンテージセルマーのマークVIにはサムフックのすぐ上にライアーホルダーが付いています。あれ?ライアーって何だかご存知ですか?今日はライアーについてお話します。
ライアーというのはマーチングバンド用の小さな譜面台です。楽器に直接取り付け、クリップのように小さな楽譜カードを挟んで使います。その形が「たて琴(Lyre)」に似ているため、正式名称は「マーチングバンド用楽譜スタンド」ですが、一般的にライアーと呼ばれています。いや、呼ばれていました。何故、「呼ばれていた」と言うかというと、今のほとんどのサックス吹きの方々が「ライアー」のことを知らないからです。先日、老若男女、サックス奏者ばかり100人以上が集まったイベントで、司会のプロサックス奏者が、「このネジ、何に使うか知ってますか?」と客席に尋ねたところ、手を上げたのは二人でした。ライアーは軍楽隊やマーチングバンドのように、楽器を立ったまま、あるいは歩きながら演奏する場合に楽譜を見るための譜面台です。何故だかは分かりませんが、クラリネットや金管楽器にはライアーホルダーは付いていません。別部品のライアーホルダーを管体に取り付け、そのうえでライアーを更に取り付けます。しかし、サックスでは初期のころから、「ライアーホルダーは標準装備」となっています。きっとサックスが軍楽隊等の野外で演奏するバンドのために開発されたという関係があるのかもしれません。しかし今ではほとんどのマーチングバンドでも、ライアーの使用を見る事はありません。使ってる人がほとんどいないのですから、皆さんが知らないのも当然ですよね。ちなみに先ほどのくだりで手を上げた二人のうちの一人は私、もう一人は某県消防音楽隊の隊長さんでした。隊長さん曰く、「うちでもライアーは誰も使ってないよ、」ですって。使われないライアーホルダーがなぜ近代サックスにも付いているかが、とっても不思議でたまりません。
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