「ヴィンテージサックス」。ジャズのサックス吹きなら、一度は「クラッ!」となってしまったことがある言葉でしょう。50年、60年前のボロボロのサックスが、びっくりするほどの価格で取引されています。先回に引き続き、ヴィンテージサックスの噂や豆知識をまとめてみます。噂と言っても、私自身が確認しています。「個人の意見だろ!」と言われてしまえばそれまでですが、少しでもヴィンテージサックスに興味がある方の参考になればと思います。あ、メーカーの設立年、モデルの年代等、WEBで調べれば分かるような事は面倒くさいので割愛します(汗。
さあ、今回は「キング」です。キングはもともとは製造業ではなく、販売店から始まりましたので、多くのステンシル(他メーカーに製造委託したサックス)を扱っていました。その後、有名な「ゼファー」、「スーパー20」を世に出し、サックスメーカーとしての認知度をあげましたが、金管のトランペット、トロンボーンにおいてその名は絶対王者であり、サックスは「亜流」として見られていました。しかし「ゼファー」や「スーパー20」の登場で、「ジャズサックスと言ったらキング」と呼ばれるほど、ジャズプレーヤーからの支持を得ました。スーパー20やスーパー20シルバーソニックは完全にジャズ向けを意識した「ジャズ用サックス」として設計されたそうです。他のサックスより一回り大きなベル(朝顔)から飛び出してくる、広がりの有るシャープなサウンドは正にジャズステージの主役でした。キングは金管楽器の老舗でもあったことから、早くからサックスの各部の素材に注目したメーカーでもあります。現在ではセルマーやヤナギサワが採用しているスーターリング・シルバー(92.5%銀)をネックとベルに採用しているのが「シルバーソニック」モデルです。ベルの彫刻の模様の内側だけにゴールドラッカーを施したものや、ベルの内側に金メッキをした「インナーベル・ゴールド仕上げ」等のものもあります。スーパー20、イコール、シルバーソニックと誤解されている方もいらっしゃいますが、これら素材の違いはあくまでもオプションの仕上げであり、全部真鍮、ネックだけシルバー、ネックとベルがシルバー等、バリエーションが沢山あります。スーパー20は非常に製造にコストがかかり、作れば作るほど損をしていたという噂です。それがキングの経営が傾いた原因だとも言われています。
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