「ヴィンテージサックス」。ジャズのサックス吹きなら、一度は「クラッ!」となってしまったことがある言葉でしょう。50年、60年前のボロボロのサックスが、びっくりするほどの価格で取引されています。しかし、吹いた事のある人は、「やはり最高の、あの頃の音がする」、「この枯れたサウンドは現代の楽器では絶対に出ない」等、ほとんどの方が絶賛します。とはいえ、吹いたことの無い人にとってはあくまで「噂」でしかありません。今回から数回にわたり、その噂をまとめてみることにします。噂と言っても、私自身が確認しています。「個人の意見だろ!」と言われてしまえばそれまでですが、少しでもヴィンテージサックスに興味がある方の参考になればと思います。あ、メーカーの設立年、モデルの年代等、WEBで調べれば分かるような事は面倒くさいので割愛します(汗。
ヴィンテージのメインストリームに堂々と鎮座しているのはやはりセルマーでしょう。しかもアメリカで再アセンブルした「アメリカン・セルマー」がキング・オブ・ビンテージでしょう。近代的サックスのメカニズムを最初に取り入れたスーバー・バランスド・アクション、通称SBAはプロの使用も多く、ダントツ人気です。軽い管体から響いてくる、枯れた、そして豊かなサウンドは多くのプロプレーヤーをも虜にしています。現存する個体数が少ないので、ヴィンテージの中でもなかなか探し辛いようです。軽い吹奏感と、表現力のあるサウンドは秀逸です。
次に出るのは、そう、やっぱりマークVI(シックス)ですね。ほぼ近代のメカニズムが完成されているマークVIは取り回しや音程ではSBAより優れているかもしれません。しかし、あまりのベストセラーモデルゆえに、製造本数も多く、当たり外れも少なくありません。また、あまりにも人気が高いので、楽器の固体の質と市場価格が必ずしも一致していません。アメセル・シックスの衝動買いはお薦めできません。またリラッカーもシックスは数多く出回っており、それゆえに価格が低くなっている場合がありますが、「リラッカー・イコール・音が悪い」、とは言えませんので、思わぬ良い買い物をする場合もあります。SBAもシックスも、現代の多くのジャンルで通用する、オールマイティなサウンドを持ったサックスです。
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