アドリブ演奏はジャズの醍醐味ですね。ジャズサックスプレーヤーを指向するサックス吹きの皆さんが、「カッコ良いアドリブを吹きたい!」、と思っているはずです。それゆえ、「どうすれば、カッコ良いアドリブが吹けるようになりますか?」、という質問は多くの方から寄せられます。コード理論の学習とか、リハーモナイズ(コードの再構築)の手法とかの、「正統派」のアドバイスは書籍やプロの先生にお任せするとして、私はやはり非正当派にこだわってみましょう。
アドリブ習得の基本はとにかく名演奏を聞き込むことです。これには正統派も裏技も関係ありません。自分が「カッコ良い」と思う演奏は何なのか、どういう演奏を自分は「カッコ良い」と思うのかをはっきりさせておかなければ、上達の目標が見えません。自分の好きなプレーヤーの演奏を良く聴き、どういうフレーズ、どういう音使い、どういうアーテキュレーション(フレーズの表現法)が、自分にとっての「良い」なのかを、はっきりとまではいかないにしても、なんとなくでも認識しておくことが重要です。それを認識しておくだけで、大変な技術的な鍛錬を積まなくても、ほんのちょっとの音の強弱、演奏姿勢等の工夫だけでも、「カッコ良く」なれてしまうものです。
先にも書きましたが、実は多くのプロサックスプレーヤーは、修行時代はひたすら自分の好きなプレーヤーのソロをコピーしたとおっしゃいます。コード理論などの「理屈」はその後で分かれば良いこと、と言い放ちます。じゃあ、小難しい多くの書籍は何なの?と言いたくなります。実は現代ジャズのコード理論は、ジャズ創世記の巨人の演奏を分析することで成り立っている場合が少なくありません。あるプレーヤーが演奏した斬新なフレーズを解析し、理論的に整理した結果が現在のジャズ理論と言ってもいいでしょう。ここで気をつけて欲しいことがひとつだけあります。自分の好きなプレーヤーの演奏の研究、そしてそのコピーの練習をせずに、自己流の吹き方を生み出すことをしないでください。基準が無い状態で自分の吹き方が出来てしまうと、いわゆる「指癖」になってしまい、後で修正するのに苦労します。そう、理屈なんて後から分かれば良いんです。
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