本当のような嘘、嘘のような本当を立証する、好評、サックス都市伝説シリーズ!…なぁんて乗りではじめましょう。今日の都市伝説は「ネックジョイントにオイルを指すと音がまとまる」というサックス吹きの間での噂話です。また「ネックジョイントにロウ(パラフィン)を塗ると、滑りが良くなり、音も良くなる」、という伝説にも触れましょう。
ネック側のネックジョイントのパイプ(テノンとかシャンクと呼びます)にオイルを塗ると、本体とネックの密着度が向上し、微細な息漏れも無くなり、サウンドが太く、しっかりとしたものになる、という噂があります。これは本当でも有り、嘘でもあります。サックスのメンテナンスやお手入れには、「オイルは使うな!」が持論の私の偏見ではなく、ネックジョイントにオイルを注す事は薦められません。ネックのジョイントはオイルなどの潤滑材が無くても、ピタッとはまるように作られています。丁寧に、真っ直ぐ入れればネックはストンと本体にはまります。逆にオイルを注すと、オイルにホコリが付着し、そのホコリがジョイントの接合部を「削る」場合があります。ひどい場合には傷が付き、そこから空気が漏れることもあります。またネックにオイルを注せば、管体内部にオイルがたれる場合も考えられます。その状態でスワブを通して掃除をすればスワブにオイルが着き、掃除のたびに管体内全体に油分が付着します。その油分は管内の材質の変質や、管内の水蒸気(息の中の水分)の結露と水の流れに影響を与え、パッドの悪化の原因になります。ま、オイルは薦めません。
が、しかぁし、近年、超微細な金属成分を含んだ、「サウンド改善用オイル」が発明されました。これはネックと本体の間に金属微細粒を注ぎ込み、振動の改善を促すためのものです。ネックスクリューやサックス本体の各部のネジにも注すことで音質が改善するとのことです。実際にサウンドが変化した、というコメントも聞いているので効果があるようです。興味のある方は、説明書をよく読んで使ってみてはいかがでしょうか。
「ネックジョイントにロウ(パラフィン)を塗ると良い」、という噂は、「嘘」です。リペアマンがネックにパラフィンを塗っている姿を見たひとが、そういう噂の元かもしれませんが、それは誤解です。リペアマンはネックジョイントの掃除のためにパラフィンを使います。ジョイントにパラフィンを薄く塗って本体と接合させて、接合部をぐりぐりと回転させます。これによってジョイントに付着した汚れやほこりがパラフィンに練りこまれ、取り込まれます。その後、パラフィンをネックと本体の接合部から丁寧に拭き取ります。ジョイントにオイルを塗るようなことは決してありません。
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