音源サンプル |
オットーリンク トーンマスターメタル1
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オットーリンク トーンマスターメタル2
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オットーリンク スラントシグナチャー1
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オットーリンク スラントシグナチャー2
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オットーリンク スラントシグナチャー3
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オットーリンク スラントシグナチャー4
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オットーリンク スラントシグナチャー5
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セルマー スーパーバランスアクションの歴史
ジャズサックスでセルマーといえば、一番有名なのは「マークシックス」こと「セルマーマークVI」でしょう。
しかし、テナーにおいてはスーパーバランスアクションは不動の地位を築いており、「ジャズの本流のヴィンテージサウンドはやはりスーパーバランスアクションだね。」と言う人も多いです。私もそういう一人です。
あの伝説のジョン・コルトレーンを始め、現在でもジャズ界の巨匠、ジョー・ロバーノ、ジョシュア・レッドマン、スコット・ハミルトン、クリス・ポッターら多くの名サックスプレイヤー達に愛用されていることで有名なヴィンテージサックスが「セルマースーパーバランスアクション」です。
正式なモデル名称はSuper Actionですが、後のモデルSuper Action 80と区別するため、
「スーパーバランスアクション」または「スーパーバランスドアクション」と呼ばれています。本モデルは1948年から1953年の5年間、2万台しか生産されておらず、
それまでのセルマーサックスの特徴的な明るく柔らかなサウンドを持ちつつ、マークVIで完成されることになる現代的な新設計の多くの部分が既に実現されています。
前モデル、「バランスアクション」まで続いていた、トーンホールがほぼ直線に並んだインライントーンホール配置が、本モデルから、現代のサックスでは常識になっている、微妙な指の位置に合わせたオフセットトーンホール配置(トーンホールの位置が管体に対して左右にずらしてある)が採用されたことで、操作性が飛躍的に向上していることは特筆すべき特徴でしょう。
アメセルとフラセルの違い
またビンテージのセルマーには、アメリカで組み立てされたアメセルと、フランスで組み立てられたフラセルがあります。
有名なプロ奏者も含めて、アメセルの方が圧倒的に人気が高く、市場価値も高いですが、それはラッカーの色合いや彫刻の違いだけではなく、人気の一番の理由は音色にあると言われています。
フラセルの場合は、焼き付け塗装という手法を使っており、ラッカーが厚いです。腐食や剥げには強いが、厚いラッカーによって管体の振動が殺されてしまうため、
音的にはやや硬めの鳴りで、音抜けまでに時間がかかります。
アメセルの場合、ラッカー拭きつけ後自然乾燥に近い仕上げとなっており、ラッカーが薄いです。腐食や剥げやすい欠点はありますが、薄いラッカーは管体の振動を損なわないので、フラセルに比べ音抜け、響きが良いです。
またアメセルは、フランスでパーツを作ってから、アメリカに運んで組み立てるという方法を取っていたために、本体とネックが運搬中に混ざらないように、本体とネックにそれぞれ別個にシリアル番号が振られていました。本体とネックのシリアルが同じ番号であることをマッチングといいます。マッチングのネックでないものは、本体の本来の響きの良さを引き出せない場合が多いです。当然このサックスもマッチングネックです。
このサックスのシリアル番号の4万9千番台は1952年製造で、翌々年よりマークVI(シリアル5万5千番台より)へ切り替わる最後期のスーパーバランスアクションです。
芸術とも呼べる精緻で複雑な彫刻がアメセル スーパーバランスアクションの特徴で、
当時の職人がどれだけ精魂を込めてこの楽器を作っていたかが伺い知れます。
至高のサウンド
吹き心地は軽く、息に対して非常に軽やかに素早く反応するのもスーパーバランスアクションの特徴です。ジャズサックスのサウンドを語る際に、ふんわりとした心地良いサウンドの輪郭の甘さ、かすれ具合を「スモーキー(煙のような)」と評する場合がありますが、この時代のスーパーバランスアクションのサウンドに勝る、美しいスモーキーサウンドは他に較べられるものは無いでしょう。
後期のスーパーバランスアクションは前期の物に比べて、音程が安定し、音の倍音も増えてより芯の太